本/感想

『食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字〈上〉』

『食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字〈上〉』(山田真哉/光文社新書/700円)を読み終える。日常生活における数字の使い方を、わかりやすい例を基に解説した本である。数字に「他の意味を持たせる」3つの技法((1)決めつけ (2)常識破り (3)ざっく…

『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』

『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』(城繁幸/光文社新書/700円)を読み終える。人口が増大し、社会が順調に成長してきたかつての日本で構築された年功序列というシステムが、社会の変化を受け、成り立たなくなってきている状況を解説…

『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』

『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』(マイケル・ルイス/文藝春秋/1600円)を読み終える。アメリカのメジャーリーグ球団・オークランド・アスレチックスのゼネラルマネジャー・ビリー・ビーンが、ニューヨーク・ヤンキースなど他のメジャーリーグチ…

『ベルカ、吠えないのか?』

『ベルカ、吠えないのか?』(古川日出男/文藝春秋/1714円)を読み終える。第二次世界大戦末期、キスカ島に残された日本の軍用犬3頭とアメリカの軍用犬1頭に始まる、犬たちの物語である。第二次世界大戦後の東西の対立を軸にした、“戦争の世紀=20世紀”に翻弄…

『不惑 桑田・清原と戦った男たち』

『不惑 桑田・清原と戦った男たち』(矢崎良一/ぴあ/1400円)を読み終える。1983年、15歳の夏に甲子園にデビューし、2007年に40歳・不惑を迎えた桑田真澄、清原和博。彼らと同学年(1967年4月2日生〜1968年4月1日生)の野球人たち9人に、その野球人生と、桑…

『松坂世代』

『松坂世代』(矢崎良一/河出書房新社/1800円)を読み終える。松坂大輔と同学年(1980年4月2日生〜1981年4月1日生)の野球選手たちを題材としたノンフィクションである。出版された2003年9月(原稿を書き終えたのは2003年4月くらいか?)段階で、プロとして実…

『信長軍の司令官』

『信長軍の司令官』(谷口克広/中公新書/780円)を読み終える。尾張の一領主だった織田信長が、その勢力を拡大していく過程で、どのように家臣たちを編成していったかを時系列に沿って解説した本である。有能だと見込んだ者を抜擢し、チャンスを生かせるか否…

『歴史と出会う』

『歴史と出会う』(網野善彦/洋泉社/660円)を読み終える。歴史学者・網野善彦の書いた短文、加わった対談、インタビューなどを集めた本である。この中で興味を惹かれたのは、北方謙三、宮崎駿など歴史家ではない人たちとの対談。相手が歴史をモチーフにした…

『古田の様』

『古田の様』(金子達仁/扶桑社/1500円)を読み終える。元ヤクルトスワローズ選手兼監督・古田敦也の半生を記したノンフィクションである。少年野球、高校、大学の恩師や、チームメイト、ライバルなどのインタビューから、ふつうの公立高校→大学→社会人と、…

『オブ・ザ・ベースボール』

『オブ・ザ・ベースボール』(円城塔/文藝春秋/1143円)を読み終える。『オブ・ザ・ベースボール』、『つぎの著者につづく』の2篇が収録されている。 『オブ・ザ・ベースボール』は、1年に1回くらいのペースで空から人が降ってくる町の、レスキューチームに…

『林檎と蛇のゲーム』

『林檎と蛇のゲーム』(森川楓子/宝島社/1400円)を読み終える。ある事件に巻き込まれ、一億円の札束とともに逃亡生活を送ることになった、名門女子校に通う女子中学生が主人公のミステリである。主人公は逃亡生活の中で、いっしょに暮らすことになった父の…

『となりの801ちゃん 3 限定版』

『となりの801ちゃん 3 限定版』(小島アジコ/宙出版/1200円)を読み終える。腐女子 X オタク男子の恋愛生活を生暖かく描いたギャグマンガの3作目である。あいかわらずのふたりだが、何げに驚きの展開が(笑)。限定版付属の小冊子もおもしろかった。 『とな…

『冷蔵庫のうえの人生』

『冷蔵庫のうえの人生』(アリス・カイパース/文藝春秋/1200円)を読み終える。冷蔵庫のドアに残された、母と15歳の娘の伝言メモの往還で構成された小説である。病気に侵された母が亡くなるまでの、母娘の一年間のやり取りが記されている。メモとして切り取…

『湘南ランナーズ・ハイ』

『湘南ランナーズ・ハイ』(倉阪鬼一郎/出版芸術社/1400 円)を読み終える。『湘南国際マラソン』を舞台に、それぞれの理由から、初めてフルマラソンを走ることにした2人の女性が主人公の小説である。強いランナーではない2人が、周囲の協力を得ながら、強い…

『ウォーターランド』

『ウォーターランド』(グレアム・スウィフト/新潮クレスト・ブックス/2600円)を読み終える。妻が引き起こした嬰児誘拐事件によって退職を迫られている歴史教師が、生徒たちにむかって生まれ故郷の歴史、そこで生きてきた一族の歴史、その末裔である自分の…

『プロ野球2.0 立命館大学経営学部スポーツビジネス講義録』

『プロ野球2.0 立命館大学経営学部スポーツビジネス講義録』(小島克典/扶桑社新書/720円)を読み終える。立命館大学・小島克典客員教授の講義を新書化したものである。講義は野球ビジネスに関わる人たちを招いての対談形式。この新書には、ボストン・レッド…

『監督に期待するな 早稲田ラグビー「フォロワーシップ」の勝利』

『監督に期待するな 早稲田ラグビー「フォロワーシップ」の勝利』(中竹竜二/講談社/1500円)を読み終える。2007年度、早稲田大学ラグビー蹴球部を大学日本一へと導いた中竹竜二監督の著書である。在任5年の間に対抗戦5連覇、大学選手権では優勝3回、準優勝2…

『ドアラのひみつ かくさしゃかいにまけないよ』

『ドアラのひみつ かくさしゃかいにまけないよ』(ドアラ/PHP研究所/1000円)を読み終える。中日ドラゴンズのマスコットキャラクター・ドアラのフォト&エッセー(?/笑)である。シール付初回版を入手し、一時間弱で一気に読んでしまった。メインとなるのは、Q…

『西南戦争―西郷隆盛と日本最後の内戦』

『西南戦争―西郷隆盛と日本最後の内戦』(小川原正道/中央公論新社/820円)を読み終える。NHK大河ドラマ『篤姫』の影響か幕末の薩摩に触れた歴史サイトも多く、その中で本タイトルを見つける。各所で評価が高かったため、興味を引かれて読むことにしたわけで…

『めぐらし屋』

『めぐらし屋』(堀江敏幸/毎日新聞社/1400円)を読み終える。離れて暮らしていた父親を亡くした四十歳くらいの独身女性が、その遺品の中から「めぐらし屋」と書かれたノートを見つけたことをきっかけに、それまで知らなかった父親の姿を少しずつ知るように…

『鉄子の旅・1』

『鉄子の旅・1』(菊池直恵・横見浩彦/小学館/562円)を読み終える。トラベルライター(という名の鉄道好き)・横見浩彦が、鉄道に興味のない漫画家・菊池直恵をオススメの鉄道旅に連れていくという情報ドキュメント漫画である。鉄道好きらしい一風変わった旅…

『それぞれのファン研究―I am a fan (ポップカルチュア選書「レッセーの荒野」)』

『それぞれのファン研究―I am a fan (ポップカルチュア選書「レッセーの荒野」)』 (玉川博章・名藤多香子・小林義寛・岡井崇之・東園子・辻泉/風塵社/1800円)を読み終える。様々なジャンルのファンであり研究者でもある執筆者たちが、自分たちが関係するジ…

『今日の早川さん』

『今日の早川さん』(coco/早川書房/1000円)を読み終える。本好きの人間たち特有の行動を、コミカルに描いたショートコメディである。SF好きは「早川」さん、純文学好きは「岩波」さんというように、登場人物はそのジャンルを象徴するような出版社の名を持…

『イラクサ』

『イラクサ』 (アリス・マンロー/新潮クレスト・ブックス/2400円)を読み終える。カナダの田舎町を舞台にした小説を集めた短編集である。収録された小説群は、そこに暮らすふつうの人間のそれぞれの生活を切り取ったもの。描かれているのは、ごくありふれた…

『涼宮ハルヒの憂鬱』

『涼宮ハルヒの憂鬱』 (谷川流/角川スニーカー文庫/514円)を読み終える。大ヒットアニメの原作小説である。高校の入学式直後のクラスでのあいさつで、「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのとこ…

『ねにもつタイプ』

『ねにもつタイプ』(岸本佐知子/筑摩書房/1500円)を読み終える。翻訳家である著者が書いた、基本的にはエッセイ集である。「基本的には」というのは、一部に本当だかどうかわからない幻想的雰囲気の短編が含まれていることによる。 品よく書かれた、ややピ…

『狼花 新宿鮫IX』

『狼花 新宿鮫IX』(大沢在昌/光文社/1600円)を読み終える。『新宿鮫』シリーズの9番目のエピソードである。今回、鮫島が追うのは盗品を売買するマーケット。捜査を進めていく内に、そのシステムを構築した男、マーケットの鑑定人である中国人女性、マーケ…

『逝きし世の面影』

『逝きし世の面影』を読み終える。幕末から明治に日本を訪れた外国人による日本に関する記述から、当時の日本がどういった国であったかを考察していく著作である。当時の日本人にとっては「当たり前の日常」で記述に値しないことが、異邦人にとっては「異質…

『宿澤広朗 運を支配した男』

『宿澤広朗 運を支配した男』 (加藤仁/講談社/1600円)を読み終える。 2006年6月17日に55歳で急逝した、三井住友銀行・取締役専務執行役員・宿澤広朗の評伝である。タイトルにある“運を支配した男”は、宿澤が早稲田大学の学内報「早稲田学報」に綴った文章…

『となりの801ちゃん 2』

『となりの801ちゃん 2』(小島アジコ/宙出版/1000円)を読み終える。腐女子 X オタク男子の恋愛生活を生暖かく描いたギャグマンガの続編である。801ちゃん(腐女子)の妹が着々と腐へと転落していっていたり(笑)、腐の先輩が登場したり、新たな展開にまたま…