『イラクサ』



イラクサ』 (アリス・マンロー/新潮クレスト・ブックス/2400円)を読み終える。カナダの田舎町を舞台にした小説を集めた短編集である。収録された小説群は、そこに暮らすふつうの人間のそれぞれの生活を切り取ったもの。描かれているのは、ごくありふれた日常の中のちょっとしたできごとなのだが、それにまつわる事柄が細部まで丁寧に描写してありひじょうに読み応えがある。感情を揺さぶるのではなく、読み手の気持ちにすうっと染み込むような作品たちで、読み終えた後には充足感を味わうことができた。

『イラクサ』