『監督に期待するな 早稲田ラグビー「フォロワーシップ」の勝利』



監督に期待するな 早稲田ラグビー「フォロワーシップ」の勝利』(中竹竜二/講談社/1500円)を読み終える。2007年度、早稲田大学ラグビー蹴球部を大学日本一へと導いた中竹竜二監督の著書である。在任5年の間に対抗戦5連覇、大学選手権では優勝3回、準優勝2回の実績を残した前任者・清宮克幸から、2006年4月に早稲田大学ラグビー蹴球部の監督を引き継いだ著者の、2年間の記録である。大学選手権三連覇を期待されたにも関わらず準優勝に終わった就任初年度の失敗、初年度の反省を生かし大学選手権を再びつかんだ2年目の成功が、彼の人柄を彷彿させる率直なタッチで綴られている。
ひじょうに難しいであろうカリスマ的リーダーの後継というミッションを、一度は失敗しながらも、きっちりと成し遂げたひとりの男の成長の過程を読むことはひじょうに楽しかったし、またそのリーダーシップのあり方を知ることは勉強にもなった。加えて早稲田ラグビー部ファンとしては、チームの裏側をのぞけたのにもミーハー的興味を充たされた。ひじょうにおもしろい本だった。
エピローグで中竹は「早稲田を世界一のクラブにしようと思っている」と書いているが、ぜひ周囲のファンを巻き込んだ展開を期待したい。個人的には、マーチャンタイズの充実と、シニアをボランティアとして活用することを考えてもらえたらなと思う。あとワセダクラブの会員サービスが既存のユーザーにメリットを提示しきれていない気がするので、そのあたりの改善も希望します。