『宿澤広朗 運を支配した男』



宿澤広朗 運を支配した男』 (加藤仁/講談社/1600円)を読み終える。 2006年6月17日に55歳で急逝した、三井住友銀行・取締役専務執行役員宿澤広朗の評伝である。タイトルにある“運を支配した男”は、宿澤が早稲田大学の学内報「早稲田学報」に綴った文章を、彼の先輩であり早稲田ラグビー部の監督でもあった日比野弘が要約した「努力は運を支配する」に因んでいると思われる。
早稲田大学ラグビー部のスクラムハーフとしては、社会人を破っての日本一に二度。
ラグビー日本代表監督としては、強豪国のスコットランドを撃破、そしてワールドカップでの初勝利。
銀行マンとしては、為替ディーラー、資金運用業務などで多大な利益をあげ、メガバンクの取締役専務執行役員に就任。
記された数々の輝かしいエピソードには、ただただ感嘆。宿澤の強い運もあるのかもしれないが、その運を結果に結びつけたのは、彼の《人間には、平等に、いろいろな形でチャンスが与えられる。それがどのような結果を生むかは、その人の不断の努力と、そなわった力によって大きく変わってしまうのであろう※》という信条に基づいた行動だったのかもしれないなと感じさせられた。
ひじょうに読み応えがあり、仕事に関してもいろいろと考えさせられる作品だった。
おすすめです。

※同書P.68。原典は『早稲田学報』(昭和四十八年四月号) 。

『宿澤広朗 運を支配した男』