『松坂世代』



松坂世代』(矢崎良一/河出書房新社/1800円)を読み終える。松坂大輔と同学年(1980年4月2日生〜1981年4月1日生)の野球選手たちを題材としたノンフィクションである。出版された2003年9月(原稿を書き終えたのは2003年4月くらいか?)段階で、プロとして実績をあげている有名選手から、四年制大学を卒業しプロ入りを決めたばかりの選手、既に野球を辞めている無名選手まで、多数のインタビューを基に構成されている。『斎藤世代 流しのブルペンキャッチャーが見つめた青春』を読んで、野球における世代論的なことに興味を持ち、読むことにした。
この本において、軸となっているのは1998年の夏の甲子園大会。松坂大輔と共にプレイした小山良男をはじめとする横浜高校の選手たち、松坂と戦った上重聡をはじめとするPL学園の選手たち、明徳義塾のエースだった寺本四郎などの、当時、そしてその後のエピソードが詳らかに描かれている。高校でスポットライトを浴びることができるような優秀な選手であっても、その後の4年、プロで芽が出ていなかったり、大学で埋もれてしまったりする選手がいる一方、大学生活を経由することで一層の成長を見せる選手もいたり、その明暗は人生の難しさ不思議さをあらためて感じさせる。
出版されてからさらに5年が経ち、プロを引退した選手もいれば、社会人を経由してプロ入りを果たしたり、和田毅村田修一藤川球児(本書では大きく取り上げられていないが)などのように一線で活躍をしている選手もいたり、その歩みは様々。現状、プロ野球チームでも、社会でも、プレイヤーとして中堅となっている彼ら世代が、今後どうなっていくのかは興味深い。
【追記】
※メインキャストのひとり、小山良男中日ドラゴンズから戦力外通告(2008/11/6発表)を受けたのを知り、人生の諸々をまた考えさせられた。

『松坂世代』