『古田の様』



『古田の様』(金子達仁/扶桑社/1500円)を読み終える。元ヤクルトスワローズ選手兼監督・古田敦也の半生を記したノンフィクションである。少年野球、高校、大学の恩師や、チームメイト、ライバルなどのインタビューから、ふつうの公立高校→大学→社会人と、いわゆる「野球エリート」とは異なる進路をたどりつつも、類まれなるプロ野球の選手として活躍した古田敦也の野球人生を振り返っている。
個人的におもしろかったのは、阪神・矢野との対談。リードに関して、キャッチャーとしてのリード、バッターとしてのリードの読み方など、職人的な技術論がおもしろかった。一方、興味深かったのが球界再編騒動について書かれた章。選手会長としての古田自身の働きに関する記述はもちろん、もう一方の当事者・選手関係委員長だった瀬戸山隆三(古田に握手を拒否された人です)のエピソードは興味深かった。
中日ファンではあるものの神宮球場で野球を観戦することが多く、ヤクルトにもシンパシーを感じているため(あと早稲田出身の選手も多いし)、もともと古田には好感を持っていたのだが、この本を読んで、より一層、その印象が強くなった。おすすめです。

『古田の様』