『詩的私的ジャック』



詩的私的ジャック』(森博嗣講談社文庫/695円)を読み終える。犀川と萌絵のシリーズの4作目である。今作も密室が舞台で、彼らが所属する国立N大学を中退したロッカー・結城稔(犀川は形式的ではあるが、その担任)がキーパースン。
犀川の論理的な思考法は健在で、ひじょうに小さなできごとから、ロジカルに犯人を導き出す流れは見事の一語。作中に“動機なんて、本当のところ、僕は、聞きたくもないし、聞いても理解できないでしょう。それに、本人だって説明できるかどうか・・・・・・。”という犀川の台詞があるが、人間の感情(動機)を除外し、現象や事実から“証明”をしていく、論法の明解さが爽快な作品である。

『詩的私的ジャック』