講師が釣りを自白する

先日、3/18、東京国際アニメフェア2009の後に、コンテンツ学会第12回講演会『コンテンツ産業の進化仮説から見ると、インディーズ、同人誌などの個人で制作するコンテンツの興隆は必然である』(講師:樺島榮一郎)に参加しました。講演要旨は、「技術の低廉化やレイヤーごとの費用構造の違いなどが原動力となり、コンテンツ産業には共通した進化の方向性が存在する。 (中略) その成立条件を、ポピュラー音楽の例を中心に明らかにし、メジャーの在り方と対比しつつ今後のコンテンツ産業の在り方を考える」というもの。個人制作コンテンツのビジネス化に関しいろいろと考えていることもあり、何かヒントが得られればと思っての参加です。
講演は、(1)インディーズ(非メジャー)の現況、インディーズの定義→(2)コンテンツ産業の理論、レイヤー構造と進化仮説→(3)音楽におけるインディーズ発展の例→(4)おわりに という流れ。
ライブハウスの増加データをタウンページで調べたり(すごい(笑))、見逃されがちな流通機能まできちんと押さえていたり、歴史に関してはよく調べているなと感心しました。このあたりの調査は、さすが研究者の仕事です。ただ、(4)おわりに で樺島本人が自白した通り、タイトルと要旨は釣り気味でしたね。タイトルと要旨を読んで、現状再認識とこれからの展望へのヒントが得られるかと思ったのですが、内容がそこまで至っていなかったのは残念でした(「インディーズ、同人誌の歴史」というタイトルだったら文句はないんですけど)。
とはいえ得るものがまったくなかったわけではなくて、質問コーナーでの同人音楽研究会の人の発言はなかなか示唆に富んでいました。地方の同人文化の盛り上がりや女性向けの同人文化とのリンクが感じられるという、シーンの中にいる人ならではの実感を伝えてくれたのはありがたかったです。