『夜のプロトコル・アカデミー:講座01回』

夜のプロトコル・アカデミー:講座01回』(at:高円寺「SALON by マーブルトロン」)に参加する。サブカルチャー系のトークイベントで、今回のテーマは「コンテンツ・メディア業界の1998年問題」。コンテンツ業界に、1997年をピークにして1998年から軒並み売り上げを落としていく「1998年問題」が存在するということについて、津田大介、いしたにまさき、速水健朗の3名がトークを繰り広げる。
イベントは、1998年にパネラーの3人が何をやっていたかの話でスタート。インターネット懐かし話が中心なのだが、個人的にも記憶に残っている物事が多く、ひじょうに楽しめる。中でも、当時、津田が別名義で書いたというインターネット誌比較はめちゃめちゃおもしろかった。主な連載陣に、「あの人は今」的な名前が散見されて遠い目になる(平林久和とか懐かしいなあ)。
1時間にも及ぶ前振りの後(笑)、休憩を挟んで本題に突入。
興味深かったのは、人口構成、平均年収、経済成長率の遷移が記されたスライド。特に97年を境に平均年収が下がっているというグラフには、へーっとなった。93年の大店法を契機とした、シネコン、CDショップの郊外化が、コンテンツ消費の郊外化((例)シネコン以降、興収上位の映画からデートムービーが減った)につながったのではという論考もおもしろい。
登壇者が基本、紙ベースの人、ネットベースの人なので、ディテール部分のところで認識が浅いと感じる所はあったが(追記:それぞれの所属ジャンル以外については)、トークもおもしろいし、内容も興味深いしで、すごく楽しむことができた。いいイベントでした。

以下、雑感を箇条書き。
・CDの売り上げが下がるのとは逆に、DVDの売り上げは上がっているから、「ディスク」の売り上げはそんなに変わっていないという意見は、ちょっと乱暴じゃないかなと思った。ユーザー層が違うし。
・『パ★テ★オ PATIO』の話、懐かしい(笑)。速水の強い意向で、このネタが取り上げられたとか(笑)。ただこれってTV局主導っていうより、松竹(奥山和由)とのコラボ的要素の方が強かったんじゃないかと思うけど(記憶に自信なし)。
EXILE評論家の速水(笑)が、EXILEモーニング娘。の比較をしていた。モー娘はジャニーズの方法論を踏襲しているはずなので、ジャニーズ→モーニング娘。EXILEの流れを検証するとおもしろいかもと思った。
ナップスターに関連し、いしたにが「音楽はファイルとしてのバランス、娯楽としてのバランスがよく、映像ほど重くない」って言っていたけど、音楽を「データ」として見てるんだなと思った。特に音楽を「映像ほど重くない」と定義したのが印象に残った。
・個人的に、もやーっと感じたのは(違和感というほど強くはない)、このイベントの内容をブログなどに全文アップするのはNGということ。イベント内で「音楽の売り上げはコピーによって下がったわけではない」というのであれば、内容の全文アップとかイベントを録音したもののアップロードとかは問題ないんじゃないのかな(オフレコ話を表に出されると困るというのは、承知した上で)。
※ちなみに私は「コピーはコンテンツの売り上げに影響があった」と思うので、全文アップはしないけど。
〈追記〉「コピーは売り上げには影響はない。でもぼくたちのライブはコピーしないでね」って、なんかまだもやーっとするんだよなあ。

出演者レポート
夜のプロトコル01無事開催とブログでのイベントレポートの課題(いしたにまさき)
http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/yrtk01.html