『明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法』

『明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法』(佐藤尚之アスキー新書/743円)を読み終える。著者・佐藤尚之は、広告会社でコミュニケーション・デザインを主たる領域とするクリエイティブ・ディレクター。インターネットの浸透などにより変化した消費者たちと、いかにしてコミュニケーションを取るかについてが書かれている。ビジネス書ではあるが、著者が関わった事例がユーモアにあふれたタッチでつづられ、ぐいぐいと引き込まれてしまう。特に『スラムダンク』一億冊感謝キャンペーンのくだりは、なんだか感動してほろっと来ちゃいましたよ。すごくいい本でした。おすすめです。
印象に残ったのは下記。

【消費者へのラブレターの渡し方】
・相手の趣味や行動を調べ、よくよく観察し、相手の身になってみる。
・その上で相手の行動を先読みして待ち伏せし、確実にラブレターを手渡す。
・他の楽しいことに目がいかないように、感動的なラブレターで口説く。
・相手の友達にも気に入られるよう十分ケアする。

ネット出現後のブランドとは「消費者の中に長く維持される愛」のことを呼ぶと思う。

【購入後にこそ、ブランド・イメージができる】
・ラブレターを渡した後、脈がありそうなら、すかさずもうひと押し(商品サイトに手をかける)。
・つきあいが始まったあとも気を抜かず、細やかに気を遣う(Nike+のサイトなど)。
・つきあっている間も、相手は友達と相談していることを忘れずに。
・長くつきあうために、イイトコロだけでなく、欠点も公平に見せていくこと。

【変化した消費者を待ち伏せる7つの方法 〜彼らと偶然を装って出会うために】
(1)消費者のコンタクト・ポイントで待ち伏せる。
(2)新しいメディアを創って待ち伏せる。
(3)クチコミを利用して待ち伏せる。
(4)CGM待ち伏せる。
(5)エンターテイメントの中で待ち伏せる。
(6)検索結果で待ち伏せる。
(7)メディアをニュートラルに考えてクロスに待ち伏せる。
これらすべてを使ってコミュニケーション・デザインする。

【消費者をもっともっとよく見る】
「伝えてもらいたがっている人」のことをリアルに想像する。
買いたい人を作り出してしまう(商品が売れる土壌や空気を先に作っておく(例:ピロリ菌など))。

【とことん消費者本位に考える 〜スラムダンク一億冊感謝キャンペーンより】
・初動に時間をかけることの大切さ。
・自分たちが「伝えたい相手」になってみること。
・商品は消費者のものであるという発想。
・相手が一番望んでいることをするという考え方。
・伝えたい相手にだけ伝えるというスタンス。
・相手を巻き込み、参加してもらうことの大切さ。
・コミュニケーション・デザインをやり抜くというのは実はすごく大変であること。

【クリエイティブの重要性】
商品丸裸時代のクリエイティブ
・認知に徹すること
・よりプロモーショナルになること
・ありのままの自分を出すこと
・買ってくれた人をもてなすこと
・買ってくれた人に参加してもらうこと

ツー・ウィンドウズ……テレビを見ながらパソコンも開いている状態。
→巨大なバーチャルお茶の間であり、新しいクチコミ源

【ある広告営業のクライアント説得シート】
「広告の課題」を提示(起)

「テレビCM出稿量で解決できない問題」を提示(承)

「人の頭の中に入る工夫」で、既存の手段とは異なるアプローチを提案

「弊社でできること」で、解決策を提案

『明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法』