「コンテンツ市場のさらなる拡充に向けた調査〜ネットビジネスにおけるコンテンツ制作〜」報告会

「コンテンツ市場のさらなる拡充に向けた調査〜ネットビジネスにおけるコンテンツ制作〜」報告会に参加する。経済産業省関東経済産業局クリーク・アンド・リバー社に委託して行なった調査の報告会である。ネットビジネスにおけるコンテンツとはどういったものか、興味を惹かれて参加してみた。
【この事業の概要は以下の通り】
2008年6月に改定された「経済成長戦略大綱」において、コンテンツ産業は発展が期待される重点サービス6分野(健康・福祉、育児支援、観光・集客、コンテンツ、ビジネス支援、流通・物流)の1つと位置づけられ、2015年までに市場規模を約5兆円拡大させ、約19兆円にすることを目標としている。しかしコンテンツ産業の市場規模は13.8兆円(デジタルコンテンツ白書2008)であり、前年比0.3%の伸長にとどまっている。政府が実施してきたコンテンツ産業振興施策は、映画、アニメ、ゲーム、音楽等のエンターテイメント領域に関するものに重点が置かれていたが、実際にはそれ以外のビジネス領域にもコンテンツが存在しており、振興対象として含めることが重要と考えられる。ビジネス領域に存在するコンテンツ、特にインフラ整備が進展したことにより近年著しく成長しているインターネット上のコンテンツを「ビジネスコンテンツ」と定義づけ、市場規模や活用状況、抱える課題等の実態調査を行う。

この調査を行なったワーキンググループ(座長:東京大学大学院情報学環・准教授・七丈直弘)が定義するビジネスコンテンツは「テキストや記事、写真・図版・イラスト、動画・アニメーション、データやグラフなどのデジタル素材の組み合わせにより制作されたビジネス用途のコンテンツで、ネットワーク上の媒体に掲載されるもの」のこと。
【以下、例示されたサイト】
オイシックス株式会社 eコマースサイト http://www.oisix.com
株式会社モンテール プロモーションサイト http://www.monteur.co.jp/
株式会社アパレルウェブ ブログサイト http://www.apparel-web.com/
ソニー株式会社 デジタルサイネージ http://www.sony.co.jp/

一通り聞いてみての感想は、まず「コンテンツ」という概念ありきで、「ビジネスコンテンツ」ということばばかりが独り歩きしているのではないかということ。ビジネスコンテンツということばからは、一方ではNike+やUNIQLOCK、またもう一方でホッピービバレッジ副社長の石渡美奈コラム、 SUZUKI RUGBYの藤島大コラムなどがざっと思いつくが、ビジネスにつながるコンテンツであれば直接的間接的に本業の売り上げにつながる必要があり、利益を最大化するためには、できればそのコストは少ない方がいい、という考え方が抜けているのではないかと感じた。文献調査からの市場規模は約8,341億円、外注の活用が進めば約8.3兆円まで潜在的市場があり、最大値として約24兆円まで拡大余地があるということだが、現在の市場規模の読み方とか今後の成長予測とか、ちょっと乱暴すぎるのではないかという印象を持った。
第二部はビジネスコンテンツ先進活用企業ケーススタディとして、(株)ファンケル代表取締役会長執行役員・宮島和美、(株)じぶん銀行代表取締役社長・中井雅人、リブート(株)・代表取締役・前田知伸による講演。話の内容自体は興味深いものがあったが、ビジネスコンテンツの活用の話じゃなくて、ビジネスモデル、ビジネススキームの話だった。
そのあたりの線引きの曖昧さが、そもそもの問題なのではないだろうか。