『国のない男』
『国のない男』(カート・ヴォネガット/日本放送出版協会/1600円)を読み終える。カート・ヴォネガットの遺作となったエッセイ集である。我々人類や我々が生きる世界について語る、ヴォネガットテイスト全開のシニカルだがユーモラスなことばは、おもしろすぎてやばすぎる。
唯一わたしがやりたかったのは、人々に笑いという救いを与えることだ。ユーモアには人の心を楽にする力がある。アスピリンのようなものだ。百年後、人類がまだ笑っていたら、わたしはきっとうれしいと思う。(国のない男/P.138/カート・ヴォネガット/日本放送出版協会/1600円)
この本にはたくさんの名文があるが、最も気に入ったものを以下に記します。
みなさんにもひとつお願いしておこう。幸せなときには、幸せなんだなと気づいてほしい。叫ぶなり、つぶやくなり、考えるなりしてほしい。「これが幸せでなきゃ、いったい何が幸せだっていうんだ」と。(国のない男/P.140/カート・ヴォネガット/日本放送出版協会/1600円)
この本を読めて幸せです。ヴォネガットさん、あなたに神のお恵みを。