『暗闇の中で子供―The Childish Darkness』



『暗闇の中で子供―The Childish Darkness』(舞城王太郎講談社ノベルス/1200円)を読み終える。デビュー作『煙か土か食い物』の続編で、奈津川家サーガと呼ばれているシリーズの第2作にあたる作品である。前作の主人公は奈津川四兄弟の四男・四郎だったが、今作の主人公は三男・三郎。福井県西暁町で起きた事件に巻き込まれた奈津川三郎の姿が描かれている。
好き嫌いはまちがいなく分かれると思うが、もう本当に傑作!! 舞城すごいよ、まじで。
バイオレンス満載な内容で、そのあたりで引いてしまうこともあるかもしれない。しかし密度の高くスピード感のある文章には、とにかく圧倒される。また他の作品を引用して文章に織り込んでいくという技法も、かつての渋谷系や最近のヒップホップ的で、周辺の文脈(文学に限らず)を読み込んでいく楽しさをも感じさせる。
この作品、レーベルは“ミステリ”であるが、物語へのアプローチはひじょうに文学的で、ラストの疾走感にはまじクラクラした。カート・ヴォネガットJr.の『スローターハウス5』を初めて読んだときと同じくらいしびれた。
大おすすめ。
……だけどちょっと強烈なので、まずは『煙か土か食い物』を読んで、合うかどうかを確かめた方がよいかも。

『暗闇の中で子供―The Childish Darkness』