『ローレライ』



ローレライ』を観る。第二次世界大戦末期の太平洋戦線を舞台に、米軍による原子爆弾投下を阻止するため、秘密裏に出撃した潜水艦の戦闘活動とその搭乗員たちの姿を描いた作品である。歴史の大きな渦に巻き込まれた人間が、自分たちの信じるものを守るため巨大な敵に立ち向かっていくという内容で、ひじょうに感動的なストーリーとなっている。
しかしその一方で、“軍事兵器と美少女”をモチーフにした作品であるというマニアックな見方も可能。樋口真嗣監督(平成『ガメラ』でおなじみ)というのが大きなフックとなるのはもちろん、富野由悠季が役者として出演していたり、ミニチュアヒナ型制作が海洋堂だったり、こっそりと出渕裕押井守庵野秀明などなどがスタッフに加わっていたり、その人選からはひじょうに“わかっている感”が伝わってくる。その影響もあるのであろう、作中、映像の端々で、自分の中のある特定の琴線がぎゅいんぎゅいん揺らされてしまった。個人的には、戦争のある局面で美少女が重要な要素を担うという点から、第二次世界大戦版『超時空要塞マクロス』的な受け取り方をしたので、板野一郎がいてほしいなあなんて一瞬思ったのだが、舞台が第二次大戦では板野サーカスは難しいですね……。
結論としては、香椎由宇のパナビア・透明度(パナビア・トーネードという戦闘機にかけたミリタリーギャグ)の高い美しさはやばかったと。そういうことです(笑)。
ともあれ大作映画としての楽しみ方はもちろん、マニア的な鑑賞にも十二分に耐えうる作品だった。おすすめです。

『ローレライ』