『アヒルと鴨のコインロッカー』



アヒルと鴨のコインロッカー』(伊坂幸太郎東京創元社/1500円)を読み終える。『このミステリがすごい 2005年版』第2位、第25回吉川英治文学新人賞受賞の長編小説である。日常系のミステリで、語り手は引っ越した先の隣人から書店強盗に誘われた若い男と、連続ペット殺し事件にまきこまれた若い女のふたり。現在(語り手は若い男)と2年前(語り手は若い女)の事件が交互に描かれるという構成になっている。
共通の登場人物はいるもののパラレルのように思えたストーリーが、クライマックスで一本に収束し隠されていた真実が露にされる瞬間は本当に見事。ひじょうによくできた作品で(ディテールの小ネタも楽しい)、その巧みさに感嘆させられた。おすすめ。

『アヒルと鴨のコインロッカー』