『文学刑事サーズデイ・ネクスト(1) ジェイン・エアを探せ!』



文学刑事サーズデイ・ネクスト(1) ジェイン・エアを探せ!』(ジャスパー・フォードソニー・マガジンズ/1800円)を読み終える。1985年の“もうひとつ別の現代イギリス”が舞台の警察小説である。稀覯本の不法売買、贋作、著作権侵害、詐欺などを取り締まる特別捜査機関に所属する、36歳の女性文学刑事(リテラテック)が主人公。本の世界に入り込める〈文の門〉(プローズ・ポータル)という機械の発明に端を発し、古典文学のストーリーを変えようとする凶悪犯、その機械を使って暴利を貪ろうとする巨大企業、特別捜査機関の三つ巴の争いが描かれている。
パラレルワールド、テイストの変わった探偵と、設定は個人的には魅力満載。その上、タフだけどどことなくヘンテコな主人公をはじめ、奇天烈なキャラクターが多数登場して、荒唐無稽なストーリーを紡ぎ出している。小ネタもふんだんに散りばめられ、最後までゆかいに読み通すことができた。おすすめ。

『文学刑事サーズデイ・ネクスト(1) ジェイン・エアを探せ!』