『奪取』



『奪取』(真保裕一講談社文庫/上下巻・各714円)を読み終える。ミステリ系フォーラムで話題になっていたのに興味をひかれて購入した作品である。この作者の『ホワイトアウト』もすばらしくおもしろかったので、かなり期待はしていたんだけど、期待以上の出来。めっちゃくちゃおもしろかったですよ。
ストーリーの骨格となるのは偽札造り。友人の借金を返済するために偽札造りを始めた青年が、どんどんと偽札造りの深みにはまっていくお話である。最初はATMをだますだけの簡単なものだったのが、人間が見てもわからないくらいの本格的な偽札を造るようになっていく。
ストーリーは四転五転。転回の度にスケールも大きくなっていき、読んでいて次の展開がまったく見えない。なので長い小説にもかかわらず、一気に最後まで読まされていってしまう。またお札や印刷に関しての情報もぎっしりと盛り込まれ、知識を得る喜びまでをも感じさせてくれる。
これはほんと、文句なしにおすすめ。
ぜひぜひ読んでみてくださいね。

『奪取・上』

『奪取・下』