『13日間で「名文」を書けるようになる方法』

『13日間で「名文」を書けるようになる方法』(高橋源一郎朝日新聞出版/1800円)を読み終えました。作家・高橋源一郎明治学院大学国際学部で行なった「言語表現法」の講義をテキスト化したものです。講義のスタイルは“わたしは、学生諸君に、わたしが好きな「文章」を読んでもらう。それから、なにか課題を出し、学生諸君に、「文章」を書いてもらう。そして、それらの「文章」について、学生諸君といろいろ話し合う、というか考える。”というもの。出される課題は、「ラヴレター」だったり、「憲法」もしくは「憲法前文」だったり(その「憲法」によって治められている国は、現実に存在しない国でもかまわない)、『もし、1日しか記憶がもたないとしたら、という仮定の下で、1日分の日記を書いてくること』だったり、とにかくユニークなものなんですが、それに関して書かれた学生たちの文章がこれまたすばらしい!! 若く瑞々しく、キラキラとしてかわいらしく、そのストレートな文章はまぶしくて読んでいてホロっと来る程。「名文」満載のすてきな本でした。おすすめです。

『13日間で「名文」を書けるようになる方法』

以下、印象に残ったことを箇条書き。

検閲を警戒すること。しかし忘れないこと――社会においても個々人の生活においてももっとも強力で深層にひそむ検閲は、自己検閲です。(スーザン・ソンタグ/P.9)


少なくとも一日一回は、もし自分が、旅券をもたず、冷蔵庫と電話のある住居をもたないでこの地球上に生き、飛行機に一度も乗ったことのない、膨大で圧倒的な数の人々の一員だったら、と想像してみてください。(スーザン・ソンタグ/P.10)


最後になりますが、私の好きな言葉は「日々精進」です。私は、毎日ちょっぴりでも、何か頑張れたなぁと思えることがあると、その日は「今日の精進達成☆」と思って、良い気分でぐっすり眠れる気分になるのです。(F・S/P.80)
…… 「精進達成」という堅いことばに☆が付くのがかわいい。


「自己紹介」とは、それを読んでくれた人が、そのことによって、そのことをきっかけとして、もっとその人間のことを知りたいと思うような、なにか、のことです。(P.87)


〈(2005年度版『世界憲法全覧』民明書房編・発行より)

ベッドの下連邦共和国憲法 (P.221)
……今の若者も「民明書房」を知っているんだ!!


「あなたたち」などという人間はいません。「あなた」と「あなた」と「あなた」だけが存在するのです。(P.323)


最高の「演説」とは、どこかで、というか、もっとも効果的なところで「希望」ということばを使うものだ、といえるかもしれません。(P.327)


最初はY・Mさん。すごく、いい詩を書きましたね。

(えへん。わたしもそう思います) (「詩」をひとつ選び、自分がその「詩」の作者だとして、それを書いた理由を考えてくる、という課題/P.359)
……「えへん」というのがかわいすぎる(笑)。


(これ、サイトの書き込みへの「レス」なんで、「演説」じゃないかもしれないんですけど。人前でしゃべったりしないし) (P.384)
……この演説は刺さりました。ぐっと来た。