『すぐに稼げる文章術』

『すぐに稼げる文章術』(日垣隆幻冬舎新書/720円)を読み終えました。作家・ジャーナリストである日垣隆が、彼の持つ文章を書くためのノウハウを公開した本です。《私にとって文章は、お金を払って読んでもらうという以外の意味を持っていません。》(P.212)というスタンスの作者なだけに、実際に文章を書く上で「使える」テクニックが多数記されています。

《サイトに日垣本の注文が入ると、すぐに名前を検索してメルマガの定期購読者か否かを調べます。注文者が岡山の方でしたら、「岡山では昨日の台風はいかがでしたか?」など、何かしら個人に宛てた一文を添える。もし注文者がメルマガの購読者でなければ、メッセージとともに「よろしければ本が届くまでお楽しみください」とメルマガを2号ほどサンプルとして送ります。こうした工夫をするだけで、一度でも私の本を注文した人がメルマガの購読者になる割合は58%にものぽるのです。》(P.108-109)

上の引用のように、文章術だけでなく、文章を使ったビジネスに関する手法なども書かれ、読んでいてひじょうにおもしろかったです。

『すぐに稼げる文章術』


以下、自分用にメモ。

本来最優先して考えなければならないことは、「どう書くか」より、文章が「どう読まれるか」(P.10)
……「何を読んで欲しいか」にも気を配りたい。

文章の結論は、少し飛躍させたほうが締まりが良くなります。読み手に「考える快感」をもたらすからです。(P.18)
……まとめちゃいがちなので、これは一度やってみる。

自分の体験をある程度据えながら(自分の体験だけで最後まで行ってしまうとヤバいですが)、(1)その体験がどれだけ普遍性をもつか検証する、(2)読者が異論を挟もうが共感しようが、個人的な体験に対してどれだけ距離を取れるか、(3)「それがどうしたの?」というような素朴な疑間に答えられるようにしていく、ということが文章成立のポイントになります。(P.25)
……個人的な体験にどう距離を取るかが難しい。

読者に立ち止まってもらいたいときには、文章の中で疑問を投げかける(P.27)

おもしろい文章の実態とは、本来結びつかない2つのことを結びつけること(P.34)

書評とは(1)その本をすぐに買いに走るように行動提起する文章、または(2)レビューそのものがエッセイとしておもしろく読める、そのどちらかでなければいけないと第1章で書きました。「この本は買うな」と言いたいのであれば、わざわざレビューなど書くなということです。
笑える本や莫迦本のレビューを書きたいということはあるかもしれません。しかし、本を販売しているアマゾンのサイトで本の悪口を言うのはおかしなことです。八百屋さんで「この野菜は腐っています」と言っているようなものですから、ありえませんよね。(P.46)
……おっしゃる通り。まずは(1)をきちんとできるようにしたい。

インパクトのある文章の正体とは、読んだ人の約3割から反発を招く文章だと考えてください。逆に言うと、3割程度の人から反論や反発が来ない文章というのは、たいした中身ではないということです。(P.135)
……反論や反発を避けるべく、無難にしがちな傾向があるんだよなあ。悩ましいところです。

私が産経新聞に原稿を書く場合には、あたかも朝日新聞に書くように心がけています。(P.146)
立ち位置が明確な媒体に原稿を書く場合、無名の若いライターがいかにも媒体にハマるような文章を書くことに、いったい何の意味があるのでしょうか。(P.147)
……ニーズを汲みつつ、フックを設ける考え方の例。