『早稲田と慶応 名門私大の栄光と影』


『早稲田と慶応 名門私大の栄光と影』(橘木俊詔講談社現代新書/720円)を読み終える。早稲田大学慶應義塾大学が、どのようにして現在の「名門大学」としての地位を獲得したかに関して考察した本である。早慶の歴史、2人の創設者、外の視点(著者の経歴は、早慶とは直接接点がないようだ)から見たそれぞれの大学の印象などが、様々な資料、データを基に記されている。
一通り読んでみると、戦前は帝国大学の後を追いかける存在だった両校が、戦後、大学教育改革、東京一極集中などの社会の変化を通じてそのポジションを上げていくことができたのは、カラーの異なる2つの学校が「早慶」という1つのくくりで語られることで、数多ある大学群の中で独自の立ち位置を得られたからかもしれないなと思った。
余談だが、著者・橘木俊詔は現在の両校の大学スポーツに関するアプローチには批判的である。しかし卒業してからも母校のスポーツチームを応援できることはひじょうに楽しく、個人的には早稲田に入学できたことの大きなメリットだと感じている。加えて早稲田の特色はエンタテインメントへの強さだと思っているので、その観点からも早稲田はスポーツというコンテンツをうまくコントロールしていってほしいなと思う。