『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉』



『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉』(山田真哉光文社新書/700円)を読み終える。どんだけマッチポンプなんだと、そのタイトル付けのセンスにまずは感心させられる(笑)。カッターナイフが道具にも凶器にもなるように、数字の持つ道具性、凶器性の内、下巻では凶器性を取り上げている(上巻では道具性)。
タイトルの「禁じられた数字」とは、数字の世界の禁じ手で、事実だけれど正しくはない数字を指している。それには(1)作られた数字、(2)関係のない数字、(3)根拠のない数字、(4)机上の数字の4パターンがあるとのこと。この本には「禁じられた数字」に惑わされないよう、数字の裏側を読むことを習慣化することの大切さが記されている。数字のネガティブな性質が具体的でひじょうに実感を持てる例を基に解説されているが、それは著者・山田氏の現代の会計に関する反発に由来しているとのこと。会計的な視点は必要だが、会計と非会計の両方を共存させること、複数の視点を持つことが大事だというのがその主張である(上下巻のタイトルにもその意が込められている)。
個人的に興味を惹かれたのが、アマゾンでの買い取りに文中で触れていたこと。裏技的なことが、王道出版社の新書で書かれていることにちょっと驚かされた。勉強になったのは二分法というテクニック。「二分法を使って話すと論理的に見える」、「二分法はものごとを「AかBか?」といった、シンプルでわかりやすいものにしてくれるので、考える際の手助けとなり、理解や判断もしやすくなる」とのことである。

『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉』