『ふたりジャネット』



『ふたりジャネット』(テリー・ビッスン河出書房新社/1900円)を読み終える。ヒューゴー賞ネビュラ賞受賞作『熊が火を発見する』他全9編を収録した短編集である。ジャンルとしてはSFの短編集としてくくられるのかもしれないが、収録されている作品の多くからは、ユーモラスなSFというよりも、SFの道具立てを使って書かれたトール・テール(ほら話)的な印象を受ける。すっとぼけた味わいで、読んでて自然に笑みがこぼれてくるようなチャーミングな作品が多く、特に連作『万能中国人ウィルスン・ウー』シリーズの、あまりにバカげたストーリーにはほんとにやられた(笑)。
こういう作品、かなり好きかも〜。
余談だが、『熊が火を発見する』を読んで、川上弘美の『神様』を思い出した。『神様』はくまに誘われて散歩に出る話で、そこはかとなくユーモラスなところがけっこう好きなのである。

『ふたりジャネット』