『マーティン・ドレスラーの夢』



『マーティン・ドレスラーの夢』(スティーヴン・ミルハウザー白水社/2000円)を読み終える。19世紀末から20世紀初頭のニューヨークを舞台に、葉巻商の子供として生まれたマーティン・ドレスラーが、ビジネス(一個の芸術でもある)を成功させていく様を描いた物語である。背景となっているのは都市化、商業化が進むアメリカ社会と、横へ上へと拡大していくニューヨーク。それと軌を同じくするようなマーティンのビジネスの拡大は、次第に芸術性を持ちはじめ、そのありさまは世界の創出と拡大を感じさせられる。リアルでありながら、どことなく幻想的でもあるこの作品世界に引き込まれ、一気に読み進むことができた。

『マーティン・ドレスラーの夢』