『悪党の裔』



『悪党の裔』(北方謙三/中公文庫/上・544円、下・466円)を読み終える。北方南北朝もので、赤松円心が主人公の小説である。赤松氏が播磨の土豪から室町幕府守護大名へと成長していく姿が描かれている。これまで主人公に関してはほとんど知らなかったのだが、さすがに“男を描く作家・男の人生を描く作家”南畑剛三ならぬ北方謙三が書いているだけに、すごく魅力的な人物造型がなされていた。主人公だけでなく、楠木正成足利尊氏、大塔宮などの“脇役”も魅力的で、ストーリーのディテイルに厚味を加えている。
満足の一冊だった。
いい作品で1999年の読書生活を締めることができた。

『悪党の裔・上』

『悪党の裔・下』