『エリアンダー・Mの犯罪』



『エリアンダー・Mの犯罪』(ジェリー・ユルスマン/文春文庫/580円)を読み終える。“第二次世界大戦が起きなかった”世界を舞台にしたパラレルワールドもののミステリである。父親の遺品の中にタイム・ライフ版『第二次世界大戦史』という書物を見つけた主人公が、なぜ“起きなかった”戦争を描いた書物が存在するのか、その謎を解明しようとしていく物語である。“物語の世界(第二次大戦が起きなかった)”と“実際の世界(第二次大戦が起きた)”との相違を生み出したのは冒頭で記される主人公の祖母の行動の結果なのだが、ストーリーが現代と過去を行き来することで、彼女の祖母の行動の理由が判明していく。
もともとパラレルワールドもののミステリが好きなこともあり期待して読み始めたのだが、サスペンスにあふれたストーリーで、十分期待に応えてくれた。

『エリアンダー・Mの犯罪』