『シンデレラマン』



シンデレラマン』を観る。実在のボクサー・ジム・ブラドックが主人公のボクシング映画である。故障のために引退を余儀なくされ、折悪しく大恐慌時代と重なってしまったため貧困に苦しむことになった主人公が、代役として出場した試合をきっかけに復活をしていくというストーリーである。展開はひじょうにお約束なのだが、事実が持つ説得力なのだろうか、わかっていてもまんまと感動させられてしまった。いい話だった。
個人的にぐっときたのは、一夜限りの復活戦のシーン。前座としての出場とはいえ、マディソン・スクエア・ガーデンという大きな舞台、満場の観客というシチュエーションを、“最後の試合”として与えてもらった主人公の、状況を慈しんでいるような描写には胸を打たれた。そしてこのシーンを観ながら、自分自身の“卒業”もこのように祝福されるものであることを、静かに願っていたのでした。< やや尾崎豊

『シンデレラマン』