『グッバイ、レーニン!』



グッバイ、レーニン!』を観る。ベルリンの壁崩壊前後の東ドイツを舞台にした物語である。壁崩壊前に心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまった母を持つ若者が主人公。ベルリンの壁の崩壊後に母は奇跡的に目を覚ますのだが、医者に「もう一度強いショックを与えたら、命取りになる」と言われ、母に再びショックを与えないため、東ドイツの体制が続いているように思わせるべく奮闘する主人公の姿が描かれている。
急激に西の体制に組み込まれていく社会の中、東のピクルスを探して駆け回ったり、友人と共同で自作のTVニュースまで製作したり、必死に仮の現実を構築する主人公の姿は、笑えるんだけど、切なさが心に響く。これを書いている今、終盤に自作のTVニュースを母に見せて、得意げな笑顔を浮かべる主人公を思い出したんだけど、ちょっとほろっと来てしまいました。
地味な作品ですがしみじみと染みます。おすすめ。
※空を飛ぶレーニン像の映像も、“終わりの象徴”の描き方としてうまいなぁと思いました。

『グッバイ、レーニン!』