『A & R・上』『A & R・下』



『A & R・上』(ビル・フラナガン新潮文庫/629円)、『A & R・下』(ビル・フラナガン新潮文庫/629円)を読み終える。音楽業界を舞台にした小説である。タイトルの“A & R”とは音楽業界用語でアーティスト&レパートリーのことで、基本的には音楽家と楽曲を管理する仕事を指す。主人公は大手レコード会社にヘッドハンティングされた、30代に突入したばかりのA&Rの男性。高いポストを得たことで、経営責任者、社長などとも関係することになり、単に音楽を制作するのではなく、ビジネス、社内政治にも関係していかざるを得なくなる姿が描かれている。
日米での背景の違いはあるものの、資本主義社会に組み込まれた音楽の姿がシニカルに描かれ、楽しめたんだけど、個人的にはちょっぴりほろ苦い小説だった。

『A & R・上』

『A & R・下』