『2番目のキス』



DVD『2番目のキス』を観る。ビジネス・コンサルタントとして成功した女性と、ボストン・レッドソックスの熱狂的ファンの高校教師が主人公のラブコメディである。まったく野球を知らない女性と、シーズン中には野球一色になってしまう男性とのドタバタな恋愛模様が描かれている。テーマは「野球チームと私とどっちが大事なのよ!!」。原作の『ぼくのプレミア・ライフ』は、作者ニック・ホーンビィの、フットボールチーム・アーセナルへの偏愛・盲愛を描いた自伝的スポーツエッセイだが、この作品ではモチーフを野球に置き換え、方向性を典型的なラブコメディへと変えている。
基本的にはお約束な展開の作品だが、レッドソックス狂の主人公へのシンパシーと、ドリュー・バリモアのすっとこどっこいなキュートさで、最後まで楽しく観ることができた。特にやばかったのはクライマックスシーン!! 衝撃(つうか笑撃)的な展開に、ほんとに腹を抱えて笑ってしまった。おすすめです。
この作品の撮影中、86年間もワールド・シリーズ優勝から遠ざかっていたボストン・レッドソックスがワールド・チャンピオンになってしまい、そのおかげでシナリオも途中で変更されたそうだが、その劇的な事実が映像で盛り込まれているのも見どころ。優勝シーンのドリュー・バリモアとジミー・ファロンは、合成ではなく、ほんとに参加しているそう。
そんなエピソードも含め、この作品の本当の主人公は、ボストン・レッドソックスなんじゃないかという気がしてきましたよ。そしてリアルがフィクションを取り込んじゃったっていうのは、ある意味、文学的なシチュエーションなのかもってふと思いました。

※長年欠かさず生観戦しているヤンキース戦をデートのためにキャンセルしたら、その試合が歴史的大逆転勝利になって主人公が激怒するシーンがあったんだけど、その気持ちはよくわかる。例えば2006年2月12日のラグビー日本選手権大会・早稲田大学vs.トヨタ自動車戦を生観戦できなかったら、号泣してただろうからね。

『2番目のキス』