『ジョビジョバ大ピンチ』



ジョビジョバ大ピンチ』(PCVC10972)をビデオで観る。お笑いグループ・ジョビジョバの舞台をビデオ化したものである。映画『スペーストラベラーズ』を観て、その原作である舞台にも興味を持ち、観ることにした。
ストーリーの大筋は映画とほぼ同じで、銀行強盗と人質との人間模様が描かれている。異なるのは、『ジョビジョバ大ピンチ』は場面転換がなく、話が銀行の中だけで進行するということである。舞台装置がシンプルな分、犯人と人質との交流がきめ細かく描かれ、ギャグも閉ざされた空間内におけるそれぞれの行動が基になっている。空間が狭いだけに、物語の密度は濃い。
一方、映画では警察の対応など銀行の外側の状況も描写しており、それにより銀行内部(犯行現場)の閉鎖された状況を浮かび上がらせるとともに、物語を多層化し深みを与えている。多層化という作業により物語は前半、散漫になったきらいはあるが、ストーリーが収斂していくにつれ、層の厚味がストーリーを加速させ、観客を物語世界にぐんぐん引き込んでいく。
舞台・映画ともそれぞれ特性が生かされていて、どちらもひじょうにおもしろい。両方とも観る価値は十二分にありますね。
※個人的には映画『スペーストラベラーズ』を観てから、舞台『ジョビジョバ大ピンチ』を観た方がいいと思いますね。

『ジョビジョバ大ピンチ』